がれのきしのひともとは、
みそらのいろのみづあさぎ、
なみ、ことごとく、くちづけし
はた、ことごとく、わすれゆく。
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山のあなた カアル・ブッセ
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山のあなたの空遠く
「幸《さいはひ》」住むと人のいふ。
噫《ああ》、われひとゝ尋《と》めゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸《さいはひ》」住むと人のいふ。
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春 パウル・バルシュ
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森は今、花さきみだれ
艶《えん》なりや、五月《さつき》たちける。
神よ、擁護《おうご》をたれたまへ、
あまりに幸《さち》のおほければ。
やがてぞ花は散りしぼみ、
艶《えん》なる時も過ぎにける。
神よ擁護《おうご》をたれたまへ、
あまりにつらき災《とが》な来《こ》そ。
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秋 オイゲン・クロアサン
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けふつくづくと眺むれば、
悲《かなしみ》の色口《いろくち》にあり。
たれもつらくはあたらぬを、
なぜ
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