》ふべし、※[#「火+玄」、第3水準1−87−39]耀郷《げんようきよう》。
墳塋《おくつき》にして、はた伽藍《がらん》、赫灼《かくやく》として幽遠の
大荒原《だいこうげん》の縦横《たてよこ》を、あら、万眼《まんがん》の魚鱗《うろくづ》や。
青空《せいくう》かくも荘厳に、大水《だいすい》更に神寂《かみさ》びて
大光明の遍照《へんじよう》に、宏大無辺界中《こうだいむへんかいちゆう》に、
うつらうつらの夢枕、煩悩界《ぼんのうかい》の諸苦患《しよくげん》も、
こゝに通はぬその夢の限も知らず大いなる。
かゝりし程に、粗膚《あらはだ》の蓬起皮《ふくだみがは》のしなやかに
飢《うゑ》にや狂ふ、おどろしき深海底《ふかうみぞこ》のわたり魚《うを》、
あふさきるさの徘徊《もとほり》に、身の鬱憂を紛れむと、
南蛮鉄《なんばんてつ》の腮《あぎと》をぞ、くわつとばかりに開いたる。
素《もと》より無辺天空を仰ぐにはあらぬ魚の身の、
参《からすき》の宿《しゆく》、みつ星《ぼし》や、三角星《さんかくせい》や天蝎宮《てんかつきゆう》、
無限に曳《ひ》ける光芒《こうぼう》のゆくてに思馳《おもひは》するなく、
北斗
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