》られているようで、この一月ばかりの新吉の胸の悩ましさというものは、口にも辞《ことば》にも出せぬほどであった。その苦しい思いが、何でお作に解ろう。お作はとてもそういうことを打ち明ける相手ではないと、そう決めていた。
「それで、私が帰れば、お国さんは出てしまうんですの。」お作はおずおず訊いた。
 新吉は、口のうちで何やら曖昧《あいまい》なことを言っていた。
「義理だから、己から出て行けと言うわけにも行かないが、いずれお国にも考えがあるだろう……。それでお前はいつごろ帰って来られるね。」
「もう一週間も経てば、大概いいだろうと思うですがね……でも、お国さんがいては、私何だかいやだわ。阿母《おっか》さんもそう言うんですわ。小石川の叔母さんだけは、それならばなおのこと、速く癒《なお》って帰らなければいけないと言うんですけれど……。」
 新吉は、二人の間《なか》が、もうそういう危機に迫っているのかと、胸がはらはらするようであった。
「どちらにしても、お前が速く癒ってくれなければ……。」と気休めを言っていたが、そうテキパキ事情の決まるのが、何だかいやなような気がした。
 新吉と別れてから、十日目に
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