ように思った。それからのお国は、以前よりは素直であった。自分も初めて女というものの、暖かいある物につつまれているように感じた。

     三十

 それから二、三日は、また仲をよく暮らすのであるが、後からじきに些細《ささい》な葛藤《かっとう》が起きる。それでお国が出てゆくと、新吉は妙にその行く先などが気に引っかかって、一日腹立たしいような、胸苦しいような思いでいなければならぬのが、いかにも苦しかった。
「莫迦を言っちゃいけねえ。」新吉はわざと笑いつけた。「お国と己《おれ》とが、どうかしてるとでも思ってるんだろう。」
「いいえ、そういうわけじゃありませんけれどね、子供が死んでも来て下さらないところを見れば、あなたは私のことなんぞ、もう何とも思っていらっしゃらないんだわ。」
 新吉は横を向いて黙っていた。むろんお作の流産のことを想い出すと、病気に取り着かれるようであった。彼奴《やつ》も可哀そうだ、一度は行って見てやらなければ……という気はあっても、さて踏み出して行く決心が出来なかった。明日《あす》は明日はと思いながら、つい延引《のびのび》になってしまった。頭脳《あたま》が三方四方へ褫《と
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