ほどの物もなければ、棚がさほど高いというほどでもない。が何しろ身体が※[#「兀+王」、第3水準1−47−62、36−上段−8]弱《ひよわ》いところへ、今年は別して寒《かん》じが強いのと、今一つはお作が苦労性で、いろいろの取越し苦労をしたり、今の身の上を心細がったり、表町の宅《うち》のことが気にかかったり、それやこれやで、あまりに神経を使い過ぎたせいだろう……というのがいいわけのような愚痴のような母親の言い分であった。
 お作は流産してから、じきに気が遠くなり、そこらが暗くなって、このまま死ぬのじゃないかと思った、その前後の心持を、母親の説明の間々へ、喙《くち》を容《い》れて話した。そうしてもう暗いところへやってしまったその子が不憫《ふびん》でならぬと言って泣き出した。いくら何でも自分の血を分けた子だのに、顔を見に来てくれなかったのは、私はとにかく、死んだ子が可哀そうだと怨《うら》んだ。
 新吉も詳しい話を訊いてみると、何だか自分ながらおそろしいような気もした。そういう薄情なつもりではなかったが、言われて見ると自分の心はいかにも冷たかったと、つくづくそう思った。
「私《あっし》はまた、ど
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