りのように思ったが、黙って出してやった。小僧連は、一様に軽蔑《けいべつ》するような目容《めつき》で出て行く姿を見送った。
 お国は昼になっても、晩になっても帰らなかった。新吉は一日不快そうな顔をしていた。晩に一杯飲みながら、新吉は女の噂《うわさ》をし始めた。
「どうせ彼奴《あいつ》は帰って来る気遣いないんだから、明朝《あした》から皆《みんな》で交《かわ》り番こに飯をたくんだぞ。」
 小僧はてんでに女の悪口《あっこう》を言い出した。内儀さん気取りでいたとか、お客分のつもりでいるのが小面憎《こづらにく》いとか、あれはただの女じゃあるまいなどと言い出した。
 新吉はただ苦笑いしていた。

     二十九

 二月の末――お作が流産をしたという報知《しらせ》があってからしばらく経って、新吉が見舞いに行った時には、お作はまだ蒼い顔をしていた。小鼻も目肉《めじし》も落ちて、髪もいくらか抜けていた。腰蒲団など当てて、足がまだよろつくようであった。
 胎児は綺麗な男の子であったとかいうことである。少し重い物――行李を棚から卸《おろ》した時、手を伸ばしたのが悪かったか知らぬが、その中には別に重いという
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