たせいでござりますか、大変に田舎を寂しがりまして……それに、だんだん産月《うみづき》も近づいて参りますと、気が鬱《ふさ》ぐと見えまして、もう自分で穴掘って入《へえ》るようなことばかり言っておるでござります。」とそれからお作が亭主や家思《うちおも》いの、気立ての至って優しいものだということを説き出した。前《ぜん》に奉公していた邸《やしき》で、ことのほか惜しまれたということ、稚《ちいさ》い時分から、親や兄に、口答え一つしたことのない素直な性質だということも話した。生来《うまれつき》体が弱いから、お産が重くでもあったら、さぞ応《こた》えるであろうと思って、朝晩に気をつけて大事にしていること、牛乳を一合ずつ飲まして、血の補いをつけておることなども話した。産れる子の初着《うぶぎ》などを、お作に持って来さして、お産の経験などをくどくどと話した。
 新吉は「ハ、ハ。」と空返辞《からへんじ》ばかりしていたが、その時はもう酒が大分廻って来た。
「お店の方も、追い追い御繁昌《ごはんじょう》で、誠に結構でござります。」母親は話を変えた。
「お蔭でまアどうかこうか……。」と新吉は大概|肴《さかな》を荒してしま
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