と》に……。」と鼻頭《はなさき》で笑って、「和泉屋の野郎、よけいなことばかり弁《しゃべ》りやがって、彼奴《あいつ》に私《あっし》が何の厄介になった。干渉される謂《い》われはねえ。」と新吉はブツブツ言っていた。
「そうじゃないんですけれどね……。」お作はドギマギして来た。

     二十六

「マア一口……。」と言って、初手《しょて》に甘ッたるい屠蘇《とそ》を飲まされた。それから黒塗りの膳が運ばれた。膳には仕出し屋から取ったらしい赤い刺身や椀や、鯔《いな》の塩焼きなどがならべてあった。
「サア、お作や、お前お酌をしてあげておくれ。あいにくお相をする者がおりませんでね……。」
 お作は無器用な手容《てつき》で、大きな銚子から酒を注《つ》いだ。新吉は刺身をペロペロと食って、けろりとしているかと思うと、思い出したように猪口を口へ持ってゆく。
「阿母《おっか》さん、一つどうですな。」とやがて母親へ差した。
「さようでございますかね。それでは……。」と母親は似而非笑《えせわら》いをして、両手で猪口を受け取った。そうしてお作に少しばかり注がせて、じきに飲み干して返した。
「これも久しく東京へ出てい
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