。通り路《みち》は、どこを見ても、皆窓の戸を鎖《さ》して寝ているかと思う宅《うち》ばかりで、北風に白く晒《さら》された路のそこここに、凍《い》てついたような子守《こもり》や子供の影が、ちらほら見えた。低い軒がどれもこれもよろけているようである。呉服屋の店には、色の褪《さ》めたような寄片《よせぎれ》が看《み》るから手薄に並べてある。埃深《ほこりぶか》い唐物屋《とうぶつや》や古着屋の店なども、年々衰えてゆく町の哀れさを思わせている。ふといつか飛び込んだことのある小料理屋が目に入った。怪しげなそこの門を入って、庭から離房《はなれ》めいた粗末な座敷へ通され、腐ったような刺身で、悪い酒を飲んで、お作一家の内状を捜《さぐ》った時は、自分ながら莫迦莫迦しいほど真面目であった。新吉は外方《そっぽう》を向いて通り過ぎた。
 こういう町に育ったお作の身の上が、何だか哀れなように思われてならなかった。この寂れた淋しい町に、もう二月の以上も、大きい腹を抱えて、土臭い人たちと一緒にいることを思うと、それも可哀そうであった。ショボショボしたような目、カッ詰ったような顔、蒼白い皮膚の色、ザラザラする掌《て》や足、そ
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