に注《つ》いでやると、「私もお年越しだから少し頂きましょう。」と自分にも注いだ。
 新吉は一杯飲み干すと、今度は手酌でやりながら、「どうもいろいろお世話さまでした。今年は私もお蔭で、何だか年越しらしいような気がするんで……。」

     二十二

 お国は手酌で、もう二、三杯飲んだ。新吉は見て見ぬ振りをしていた。お国の目の縁が少し紅味をさして、猪口《ちょく》をなめる唇にも綺麗な湿《うるお》いを持って来た。睫毛《まつげ》の長い目や、生《は》え際《ぎわ》の綺麗な額の辺《あたり》が、うつむいていると、莫迦《ばか》によく見える。が、それを見ているうちにも新吉の胸には、冷たい考えが流れていた。この三、四日、何だか家中《うちじゅう》引っ掻き廻されているような、一種の不安が始終|頭脳《あたま》に附き絡《まと》うていたが、今夜の女の酒の飲みッぷりなどを見ると、一層不快の念が兆《きざ》して来た。どこの馬の骨だか……という侮蔑《ぶべつ》や反抗心も起って来た。
 お国は平気で、「どうせ他人のすることですもの、お気には入らないでしょうけれど、私もこの暮は独りで、つまりませんよ。あの二階の部屋に、安火《あんか
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