さい輪飾りの根松の緑に、もう新しい年の影が見えた。
お国は近所の髪結に髪を結わして、小紋の羽織など引っかけて、晴れ晴れした顔で、長火鉢の前に坐っていた。
九時過ぎに、店の方はほぼ形《かた》がついた。新吉は小僧二人に年越しのものや、蕎麦《そば》を饗応《ふるも》うてから、代り番こに湯と床屋にやった。店も奥もようやくひっそりとして来た。油の乏しくなった燈明がジイジイいうかすかな音を立てて、部屋にはどこか寂しい影が添わって来た。黝《くろず》んだ柱や、火鉢の縁に冷たい光沢《つや》が見えた。底冷えの強い晩で、表を通る人の跫音《あしおと》が、硬く耳元に響く。
新吉は火鉢の前に胡坐《あぐら》をかいて、うつむいて何やら考え込んでいた。まだ真《ほん》の来たてのお作と一所に越した去年の今夜のことなど想い出された。
「何をぼんやり考えているんです。」とお国は銚子《ちょうし》を銅壺《どうこ》から引き揚げて、きまり悪そうな手容《てつき》で新吉の前に差し出した。
新吉は、「何、私《あっし》や勝手にやるで……。」とその銚子を受け取ろうとする。
「いいじゃありませんか。酒のお酌《しゃく》くらい……。」お国は新吉
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