こいつ》も百姓面《ひゃくしょうづら》してやがらア。厭になっちまう。」と吐き出すように言って、二タ目とは見なかった。
そのころ小野が結婚して、京橋の岡崎町に間借りをして、小綺麗な生活《くらし》をしていた。女は伊勢《いせ》の産《うま》れとばかりで、素性《すじょう》が解らなかった。お作よりか、三つも四つも年を喰っていたが様子は若々しかった。
「君の内儀《かみ》さんは一体何だね。」と新吉は初めてこの女を見てから、小野が訪《たず》ねて来た時不思議そうに訊いた。
「君の目にゃ何と見える。」小野はニヤニヤ笑いながら、悪こすそうな目容《めつき》をした。
「解んねえな。どうせ素人《しろうと》じゃあるめえ。莫迦《ばか》に意気な風だぜ、と言って、芸者にしちゃどこか渋皮の剥《む》けねえところもあるし……。」
「そんな代物《しろもの》じゃねえ。」と小野は目を逸《そら》して笑った。
小野は相変らず綺麗な姿《なり》をしていた。何やらボトボトした新織りの小袖に、コックリした茶博多《ちゃはかた》の帯を締めて、純金の指環など光らせていた。持物も取り替え引き替え、気取った物を持っていた。このごろどこそこに、こういう金時
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