ほど伸びをする。
「もう親父《おやじ》になるのかな。」とその腕を擦《こす》っている。
「早いものですね、まるで夢のようね。」とお作もうっとりした目をして、媚《こ》びるように言う。「私のような者でも、子が出来ると思うと不思議ね。」
二人はそれから婚礼前後の心持などを憶い出して、つまらぬことをも意味ありそうに話し出した。こうした仲の睦《むつ》まじい時、よく双方の親兄弟の噂《うわさ》などが出る。親戚《みうち》の話や、自分らの幼《ちいさ》い折の話なども出た。
「お産の時、阿母《おっか》さんは田舎へ来ていろと言うんですけれど、家にいたっていいでしょう。」
時計が一時を打つと、お作は想い出したように、急いで床を延べる。新吉に寝衣《ねまき》を着せて床の中へ入れてから、自分はまたひとしきり、脱棄《ぬぎす》てを畳んだり、火鉢の火を消したりしていた。
二、三日はこういう風の交情《なか》が続く。新吉はフイと側へ寄って、お作の頬《ほお》に熱いキスをすることなどもある。ふと思いついて、近所の寄席《よせ》へ連れ出すこともあった。
が、そうした後では、じきに暴風《あらし》が来る。思いがけないことから、不意と
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