れたが、銀子を春よしへ届けてから、いずれどこかで重立ったものだけの二次会を開くつもりだったので、店員の計らいでここは早く切り揚げ、省線で帰ることにした。
銀子は半ば知覚を失い、寝ている顔のうえの窓から見える空や森の影も定かにはわからず、口を利くのも億劫《おっくう》で、夢現《ゆめうつつ》のうちに東京駅まで来て、そこから自動車で家まで運ばれた。
車から卸され、狭い路次を二人の肩にもたれ、二階へ上がろうとする途端に、玄関口に立っている、妹の痩《や》せ細った蒼《あお》い顔がちらと目につき、口を動かそうとしたが、声が出ず、そのまま段梯子《だんばしご》を上がって奥の三畳に寝かされた。
不断薄情に仕向けているだけに、容体ただならずと見てお神もあわて、さっそく電話で係りつけの医師を呼び、梅村医師が時を移さず駈《か》けつけて来たところで、診察の結果、それが急性の悪性肺炎とわかり、にわかに騒ぎ出した。
十二
食塩やカンフルの注射の反応が初めて現われ、銀子はようやく一週間の昏睡《こんすい》状態から醒《さ》めかけ、何かひそひそ私語《ささや》き合う人の声が耳に伝わり、仄《ほの》かな光の世
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