かた》でお酌が老松《おいまつ》を踊ると、今度は小稲が同じ地方で清元の春景色を踊るのだったが、酒がまわり席のやや紊《みだ》れた時分になって、自称女子大出の染福が、ヘベれけになって現われ、初めから計画的に酒を呷《あお》って来たものらしく、いきなり若林の傍に坐っている銀子の晴子に絡《から》んで来るのだった。
「やい晴子、お前このごろよほど生意気におなりだね。」
銀子は訳がわからず、不断から仲のわるい染福のことなので、いい加減に遇《あしら》っていたが、高飛車に出られむっとした。
「何が生意気なのさ。」
「若ーさんの前ですがね、晴子という奴《やつ》はね、家のお帳場さんの伊ーさんに熱くなって、世間の噂《うわさ》ではちょいちょい、どこかで逢曳《あいびき》しているんだとさ。」
「何ですて? 私が伊ーさんと逢曳してるって? 春早々人聞きの悪いことを言うもんじゃないわよ。」
「大きにすまなかったね、みんなの前で素破《すっぱ》ぬいたり何かして。」
「貴女《あんた》は素破ぬいたつもりかも知らないけれど、私は平気だわ。貴女は一体ここを誰の座敷だと思っているの。仮にも人の座敷へ呼ばれて来て、気の利いたふうな真似
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