っと呼ばれて、三味線《しゃみせん》を弾《ひ》くのだった。
この男が来ていると、銀子は口がかかっても座敷へ行くのがひどく億劫《おっくう》であったり、座敷にいても今夜あたり来ていそうな気がして、落ち着かなかったりするのだったが、三四人輪を作ってトランプ遊びをしている時でも、伊沢と膝《ひざ》を並べて坐りでもすると、何となしぽっとした逆上気味《のぼせぎみ》になり、自分の気持を婉曲《えんきょく》に表現することもできず、品よく凭《もた》れかかる術《すべ》も知らないだけに、一層|牴牾《もどか》しさを感ずるのだった。
「晴《はア》さん、貴女《あんた》伊ーさんに岡惚《おかぼ》れしてるんだろう。」
春次は銀子と風呂《ふろ》からの帰り路《みち》、蜜豆《みつまめ》をおごりながら言うのだった。
「あら姐《ねえ》さん……。」
銀子は思わずぽっとなった。
「判ってますよ。――だっていいじゃないか。若《わ》ーさんはあんなお人よしで独りでよがっているんだし、たまに逢《あ》うくらい何でもありゃしない。」
春次は唆《そそ》のかした。
「待っといで、私がそのうち巧く首尾してあげるから。傍《そば》で見ていても、じれった
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