らせていた。
銀子もためになるお客だから、せいぜいお勤めなさいなぞと、福井楼が出していたある出先の女将《おかみ》に言い含められ、春よしのお神から聞いて、若林のあることも薄々承知の上で出され、すでに三四回も座敷を勤めていたが、そのたびに多分の小遣《こづか》いも貰《もら》い、そうそうは若林に強請《ねだ》りにくい場合の埋合せにしていた。永瀬の今まで手がけたのは、大抵養女か、分けのれっきとした芸者で、丸同然の七三などは銀子が初めなので、格別の面白味もない代りに座敷ぶりも神妙で、外国の話をして聞かせても、一応通じるような感じがあり、何か心を惹《ひ》かれた。彼は手触りが柔らかく、
「晴子さんは一体いくら前借があるのかね。」
とか、
「貴女《あんた》の希望は何だか言ってごらん。」
とか、探りを入れてみるのであった。
永瀬はこの土地で呼ぶばかりでなく、時には神楽坂《かぐらざか》へもつれて行き、毘沙門《びしゃもん》横丁の行きつけの家《うち》で、山手の異《かわ》った雰囲気《ふんいき》のなかに、彼女を置いてみたり、ある時は向島の一号である年増《としま》の家へも連れて行き、彼女を馴染《なじ》ませてみよ
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