類似の品を一緒に買うのであった。もちろんそれは妻への贈り物であり、彼自身の心の償いであったが、そのたびに銀子はげっそりした。
「何だこいつ。やっぱり私は附けたりなんだ。」
彼女は寂しくなり、買ったものを地面に叩《たた》きつけたくも思うのだった。
そのころに、銀子は製菓会社の社長|永瀬《ながせ》に、別の出先で時々呼ばれ、若林よりずっと年輩の紳士だったので、何かしっくりしないものを感じ、どうかと思いながら、疎《おろそ》かにもしなかった。
七
この製菓会社も、明治時代から京浜間の工場地帯に洋風製菓の工場をもち、大量製産と広範囲の販路を開拓し、製菓界に重きを成していたもので、社長の永瀬は五十に近い人柄の紳士だったが、悪辣《あくらつ》な株屋のE―某《なにがし》とか、関東牛肉屋のK―某ほどではなくても、到《いた》る処《ところ》のこの世界に顔が利き、夫人が永らく肺患で、茅ヶ崎《ちがさき》の別荘にぶらぶらしているせいもあろうが、文字通り八方に妾宅《しょうたく》をおき、商売をもたせて自活の道をあけてやっていた。それも彼の放蕩癖《ほうとうへき》や打算のためとばかりは言えず、枕籍《ちん
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