あるよ。」
彼は笑いながら蟇口《がまぐち》をさぐり、一円二円と摘《つ》まみ出して子供を梅園へ走らせるのだったが、たまにお神と顔が合っても、彼女の方が強気であり、「何か用?」といわれると、同じようなことを繰りかえしていたが、後にお神が自身結婚媒介所で、いくらか金のある未亡人を一人捜し出し、後妻に迎えさせたので、いつも物欲しそうにしていた花村も、にわかに朗らかになった。
六
秋から冬にかけてのことだったが、銀子は女房持ちの若林に、何かしら飽き足りないものを感じ、折にふれてそれを言い出しでもすると、若林は一言のもとに排《しりぞ》け、金で面倒を見てやっていれば、それで文句はないはずだというふうだった。
「芸者は芸者でいるか、二号で気楽に暮らしている方が一番いいんだよ。女房で亭主《ていしゅ》に浮気をされることを考えてごらん、株屋のように体が閑《ひま》で金にもそう困らない割に絶えず頭脳《あたま》をつかっているものは、どうせ遊ぶに決まっているよ。そういう人間の本妻の立場になって考えてごらん。」
若林は言うのであった。
「だから私たちは気晴らしの翫具《おもちゃ》だわ。」
「そう思
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