どんよりした目をして、飾り棚《だな》の後ろからよちよち歩き出し、不思議そうに銀子を眺めていた。
「お前何か急にあしこがいやになった訳でもあるのかい。」
お神が窓から投《ほう》りこんでくれたお菓子を妹たちに頒《わ》け、自分は卯《う》の花《はな》漬《づけ》の気仙沼の烏賊《いか》をさいて、父と茶漬を食ベている銀子に、母が訊くのであった。
「ううん、何ということなしいやになったの。」
「結婚してくれるという人はどうしたい。」
「あれはあれぎりさ。あの家の十倍もお金のある家から嫁さんが来たという話だけれど。」
「そうだろう。こちとらと身分が違うもの。本人が結婚しようと思っても、傍《はた》が煩《うるさ》かろうよ。それよりかあの温順《おとなし》やかな写真屋さんな――あの人も一度東京へ用があって来たとか言って、寄って行ったけれど、罐詰屋《かんづめや》さんと違って、なかなか人品もいいし、何かによく気もつくし、何だかお前をほしいような口吻《くちぶり》だったが、あの人はどうしたろう。」
そんなことは、銀子も当の写真屋から聞いたようでもあり、今が初耳のようでもあった。
「いるわよ。」
「あの人なら申し分な
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