ひ》がちらちらしており、水のうえに仄《ほの》かな空明りが差して、幾軒かの汽船会社の倉庫が寒々と黒い影を岸に並べていた。
銀子は一年いるうちに、いつか嫌《きら》いであった酒の量も増していたが、その晩は少し自暴《やけ》気味に呷《あお》り、外へ出ると酔いが出て足がふらふらしていた。ちらちらする目で、彼女はざっと記事を読み、鉄槌《てっつい》でがんと脳天をやられたような気持で、煙草屋《たばこや》を出たのだったが、どうしても本家へ帰る顔がなく、二丁ばかりある道を夢中で歩いて、河縁へ出て来たのだった。
「馬鹿は死ななきゃ癒《なお》らない。」
棧橋に佇《たたず》んでいるうち、彼女は死の一歩手前まで彷徨《さまよ》い、じっと自分を抱き締めているのだったが、幼い時分|悪戯《いたずら》をして手荒な父に追われ、泣きながら隣の材木屋の倉庫に逃げこみ、じっとしているうちに、いつか甘い眠りに誘われ、日の暮れるのも知らずに熟睡していると同じに、次第に気が楽になり、ここへ来る時|桂庵《けいあん》の言った言葉も思い出せるようになった。
「いやになったらいつでも迎えに行ってあげる。芳町の姐《ねえ》さんも貴女《あんた》を待
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