りつけの家で、二た座敷ばかり廻っているうちに、女中からもそのことを言われて、町中みんながとっくに知っており、知らぬのは当の自分だけだと感づき、客たちの目にさえそれがありあり読めるように思えて来た。
とにかく記事を読んでみようと思い、お座敷の帰りに、角の煙草屋《たばこや》で朝日を買い、今朝の新聞があるかと訊いてみた。
「今日の新聞かね。」
四十男の主人は、にやにやしながら、茶の間から新聞をもって来て、銀子に読まし、新婦の生家が、倉持とは釣合《つりあい》の取れないほどの豪家であり、高利貸としてあまねく名前の通っていることを話して聞かせた。式は銀子が塩釜で遊んでいるころ、仙台の神宮で行なわれ、宮古川で披露《ひろう》の盛宴が張られたものだった。
十六
銀子の帰りが遅いので、分寿々廼家のお神と内箱のお婆《ばあ》さんとで、看板をもった車夫を一人つれて、河縁《かわべり》を捜しにやって来た時、銀子は桟橋《さんばし》にもやってある運送船の舳《みよし》にある、機関の傍《そば》にじっとしゃがんでいた。暗い晩で河風はまだ寒かった。河口に近く流れを二つに分けている洲《す》の方に、人家の灯《
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