《らくだ》のマントの下に、黒紋附の羽織を着て、白い大きな帯紐《おびひも》を垂らしていた。

      十五

 河の氷がようやく崩れはじめ、大洋の果てに薄紫の濛靄《もや》が煙《けぶ》るころ、銀子はよその家の妓《こ》三四人と、廻船問屋《かいせんどんや》筋の旦那衆《だんなしゅう》につれられて、塩釜《しおがま》へ参詣《さんけい》したことがあった。塩釜は安産と戦捷《せんしょう》の神といわれ、お守りを受けに往《ゆ》くところだが、銀子たちには土地の民謡「はっとせい節」を郷土色そのままに、土地の芸者から受け容《い》れるという目当てもあった。松島は主人夫婦にもつれられ、客とも遠出をして、船のなかへ行火《あんか》を入れ、酒や麦酒《ビール》を持ちこんで、島々の間を漕《こ》ぎまわり、最近心中のあったという幾丈かの深い底まで見えるような、碧《あお》い水を覗《のぞ》いたのだったが、塩釜までのしたのは初めてであった。それも銀子が一座する芸者のなかに、塩釜育ちの妓があり、「はっとせい節」の話が出て故郷を思い出し、客に強請《せが》んだからであった。
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塩釜|街道《かいどう》に白菊うえて
何をき
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