くきくありゃ便りきく
[#字下げ終わり]
 唄《うた》はどこも稚拙な洒落《しゃれ》だが、言葉の訛《なまり》や節の郷土色は、名歌手も及ばないところがあった。
 連中は午後に出発し、一晩遊んで翌日昼過ぎに帰って来たのだったが、土地のその日の小新聞に、倉持の結婚式の記事が、大々的に出ていることを、銀子は晩方になるまで少しもしらなかった。
 彼女は塩釜の土産を奥へ出し、塩釜はどうだったとお神に聞かれるので、雨がふってつまらなかったけれど、思ったより立派な神殿で、大鳥居をくぐった処《ところ》に、五六軒の娼楼《しょうろう》が軒をならべ、遊覧地だけに、この土地よりも何か情緒《じょうしょ》があるように思われ、そんな話をしてから、風呂《ふろ》へ行ったのだったが、風呂にはちょうど本家の寿々千代の愛子も来ていて不断から仲良くしている彼女の口から、それが出たのであった。
「今朝の新聞見ないの?」
「だって今塩釜から帰ったばかりだもの。」
 二人は並んで石鹸《シャボン》をつかっていた。
「大きく出ているわよ。」
「そうお。ちっとも知らない。」
 銀子は言ったが、半信半疑であった。担《かつ》がれているように思えた
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