行こうと思っていたからね。寿々《すう》さんがそれで癒ってくれれば、僕の思いが通るというもんです。」
銀子は梳《す》いた髪をいぼじり捲《ま》きにしてもらい、少しはせいせいして、何か胸がむず痒《がゆ》いような感じで膝《ひざ》のうえで雑誌をめくったりしていたが、小谷さんは新聞にたまった雲脂《ふけ》と落ち毛を寄せて、外へ棄《す》てに行った。
「しかし僕が案じたより、何だか快《よ》さそうじゃないんだかね。」
「ええ、大分いいのよ。」
「そんならいいですが、これは僕を信じて、ぜひ呑《の》んでもらいますよ。わざわざ東京へ寄って、製剤して来たもんだからね。」
「あとで戴《いただ》くわ。それにそんな良い薬なら、東京の妹にも頒《わ》けてやりたいんです。このごろ何だかぶらぶらしているようだから。」
浦上はそれには返辞もしず、部屋をあちこち動いていた。
「しかし貴女《あんた》も、この商売はいい加減に足を洗ったらどうです。商売している間は、夜更《よふ》かしはする、酒は呑む、体を壊す一方だからね。」
「…………。」
「僕も写真をやるくらいなら、いっそ東京へ出て、少し資本をかけて場所のいいところで開業してみたい
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