見えるところから、その単純な彫刻的な白い顔が、はしなく異郷にいる滝川の情熱をかき立てたものらしかった。
「真珠を取るんですって?」
「そうです。鼈甲《べっこう》なんかも取りますがね。こんどは何にも持って来ませんでしたけれど……大概良いものは途中で英国人や米国人に売ってしまうんです。」
「どの辺まで出かけるんですの?」
「随分行きますね。委任統治のテニヤン、ヤップ、パラオ、サイパンはもちろん、時々は赤道直下のオーシャン付近からオーストラリヤ近くまでも延《の》しますが、もちろん冒険ですから、運が悪いとやられてしまいます。それに水を汲《く》みに、無人島へ上がることもありますが、下手まごつくと蛮人にやられますね。」
彼らは往《ゆ》きには小笠原《おがさわら》の父島から、硫黄ケ島《いおうがしま》を通り、帰りにはフィリッピンから台湾方面を廻って九州へ帰航するのであり、滝川はすでに幾度もその船に乗り込み、南洋諸島の風土、物資、島民の生活についてかなりの知識をもっており、南洋庁の所在地パラオには往き帰りに寄港し、政庁筋の歓迎を受けたり、富有な島民の家庭にも招待され、土人独特の料理を饗応《きょうおう》さ
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