ありそうね。」
その時軽く戸をノックしたと思うと、本家の養女の寿々千代の愛子が顔を出し、続いて見知らぬ男が一人戸口に現われた。
「こないだお話しした私の彼氏紹介するわ。」
彼女はそう言って、真珠船の船員である滝川という許婚《いいなずけ》を紹介した。
「こちら貴方《あなた》が大好きだといった銀子さんよ。」
「ああ、そうですか。初めまして、僕はこういう海賊みたいな乱暴ものです。」
彼は分け目もわからぬ蓬々《ぼうぼう》した髪を被《かぶ》り、顔も手も赤銅色《しゃくどういろ》に南洋の日に焦《や》け、開襟《かいきん》シャツにざぐりとした麻織の上衣《うわぎ》をつけ、海の労働者にふさわしい逞《たくま》しい大きな体格の持主だが、しかし大きからぬ眼眸《まなざし》に熔《と》けるような愛嬌《あいきょう》があり、素朴《そぼく》ではあるが、冒険家の特徴とでも言うのか、用心深そうな神経がぴりぴりしていそうに見えた。
銀子はちょっと勝手が違った感じだったが、最近しばらくパラオで遊んでいたこの男に、愛子の贈った写真の中に愛子姉妹と並んで銀子も真中ほどに立っており、不縹緻《ぶきりょう》な愛子によって一層引き立って
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