、そういう時倉持はきまって仙台にいる、学校友達をだし[#「だし」に傍点]に使い、母の前を繕うのであった。二タ月三月たつと次第にそれが頻繁《ひんぱん》になり、寿々龍の銀子も寂しくなると、文章を上手に書く本家の抱えに頼んで、手紙を書いてもらったりするので、自然足が繁《しげ》くなるのだったが、倉持の家には、朝から晩まで家の雑用を達《た》してくれている忠実な男がいて、郵便物に注意し、女からのだと見ると、母に気取られぬように、そっと若主人に手渡しすることになっていた。
 倉持も町から帰って行くと、別れたばかりの銀子にすぐ手紙をかき、母が自分を信用しきっているので、告白する機会がなくて困るとか、逢《あ》っている時は口へも出せなかったその時の感想とか、一日の家庭の出来事、自身の処理した事件の報告など純情を披瀝《ひれき》して来るので、銀子も顔が熱くなり、ひた向きな異性の熱情を真向《まとも》に感ずるのだった。
「僕いつもの処《ところ》へ行っているから君もすぐ来たまえ。そのままでいいよ。」
 倉持はそう言って出て行ったが、銀子はちょっと顔を直し、子供に留守を頼んで家を出たが、そこは河に近い日和山《ひよりや
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