いうことも、銀子は倉持から聞いていた。渡弁護士は倉持には父方の叔父《おじ》であり、後見人でもあった。倉持は幼い時に父に訣《わか》れ、倉持家にふさわしい出の母の手一つに育てられて来たものだったが、法律家の渡弁護士が自然、主人|歿後《ぼつご》の倉持家に重要な地位を占めることとなり、年の若い倉持にほ、ちょっと目の上の瘤《こぶ》という感じで、母が信用しすぎていはしないかと思えてならなかった。倉持家のために親切だとも思えるし、そうでもないように思えたりして、法律家であるだけに、頼もしくもあり不安でもあった。それも年を取るにつれて、金銭上のことは一切自分が見ることになり、手がけてみると、この倉持の動産不動産の大きな財産にも見通しがつき、曖昧《あいまい》な点はなさそうであったが、今までに何かされてはいなかったかという気もするのだった。
六
「おい、おい。」
玄関わきの廊下から、声をかけるものがあるので、寿々龍の銀子は目をさまし、振り返って見ると、それが倉持であった。
彼は駱駝《らくだ》の将校マントにステッソンの帽を冠《かぶ》り、いつもの通り袴《はかま》を穿《は》いていた。
「あら
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