、きっと頭が軽くなるだろうと親爺はそんなことも言っていた。
軟禁の形で休業していた銀子も、その前後からまた蓋《ふた》を開け、気晴らしに好きな座敷へだけ出ることにしていたが、田舎《いなか》から帰って来た栗栖にもたまに逢《あ》うこともできた。
「帰って来た途端に、妙なことを聞いたんだが……。」
一昨日帰ったばかりだという栗栖に、梅の家の奥の小座敷で逢った時、彼はビールを呑《の》みながら言い出した。病院の帰りで時間はまだ早かった。
銀子はもう帰る時分だと、いつも思いながら、病院へ電話をかけてみても、まだ帰っていないと後味がわるいし、家《うち》へ訪ねて行っても同様に寂しいので、帰って来ればどこかへ来るだろうと、心待ちに待ち、電話の鈴が鳴るたびに胸が跳《おど》り、お座敷がかかるたびに、お客が誰だか箱丁《はこや》に聞くのだったが、親爺が見番の役員なので、二人を堰《せ》き止めるために、どんな機関《からくり》をしていないとも限らず、気が揉《も》めているのだった。しかし逢ってみると、一昨日帰ったばかりだというので、ほっとしたが、「随分遅かったわ」とも口へ出せずにいるところヘ、栗栖にそう言って目をじ
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