っと見詰められ、銀子は少し狼狽《うろた》えた。
「まあ一杯呑みたまえ。」
栗栖はコップを差して、ビール壜《びん》を取りあげた。
「呑むわ。どうしたの?」
「どうもせんよ。」
「だって……田舎はどうだったの。」
「ああ田舎か。田舎は別に何でもないんだ。ああ、そう、妹がよろしくて。着物の胴裏にでもしてくれって、羽二重を一反くれたよ。ここには持って来なかったけれど。しかし君は相変わらずかい。」
「そうよ。」
「何か変わったことがあるんだろう。」
「何もないわ。どうして。」
「朗らかそうな顔しているところを見ると、別に何でもなさそうでもあるね。君がそんな猫冠《ねこかぶ》りだとは思えんしね。」
銀子も何か歯痒《はがゆ》くなり、打ち明けて相談してみたらとも思うのだったが、それがやはり細々《こまごま》と話のできない性分なのだった。
「僕も君を信用したいんだ。無論信用してもいるんだが、変なことを言って僕に忠告するものがいるんだ。」
「世間はいろいろなこと言いますわ。私が養女格で別扱いだもんだから、変な目で見る人もあるのよ。」
銀子はそう言いながら、この場合にも、いつか何かの花柳小説でも読み、何か
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