がぶらぶらしてると言うから、ちょっと行ってみたの。」
「どうせ己《おれ》も一度話に行こうとは思っているんだが、どういうふうにしたらいいと、お前は思う。」
「そうね。私にも解《わか》んないわ。お父さん仕事ができないで困っているの。それに赤ん坊が産まれたでしょう。私も事によったら、しばらく家へ帰っていようかと思ったんだけれど……それよりも、いっそ新規に出てみようかと、汽車のなかで考えて来たの。」
芸者に口がかかり、箱が動きだしたので、話はそれきりになり、銀子は台所へ出て、自分の食事の仕度《したく》をした。彼女はわざと抱えと一つの食卓に坐ることにしていたが、芸者たちの居ない時は、親爺の酌《しゃく》をしながら、一緒に食べることもあった。抱えに悪智慧《わるぢえ》をつける婆《ばあ》やも、もういなくなり、銀子は仕込みをつかって、台所をしているのだったが、大抵のことは親爺《おやじ》が自身でやり、シャツ一枚になって、風呂場《ふろば》の掃除もするのだった。
翌日親爺の磯貝は、銀子をつれて本所へ出かけて行った。彼は肴屋《さかなや》に蠑螺《さざえ》を一籠《ひとかご》誂《あつら》え、銀子を促した。
「何しに
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