れる妹たちを脊中《せなか》に縛りつけられ、遠遊びをしたこともあったが、負ぶったまま庭の柘榴《ざくろ》の木に登り、手をかけた枝が析れて、弾《はず》みで下の泉水へどさりと堕《お》っこちたこともあった。
「大変だわ。」
銀子は襁褓《おしめ》を見て、少しうんざりするのだったが、この小さい人たちだけは、一人も芸者にしたくないと思った。しかし妹たちの成行きがどうなろうと、これ以上の重荷は背負いきれそうもなく、やはり母の言うような、どうにか手足さえ伸ばせば、それでいいとしておくよりほかなかった。それにしても久しぶりで家庭の雰囲気《ふんいき》に触れ、結婚どころではないという気もするのだった。
巣鴨から煎餅《せんべい》なぞもって帰って来た母親が、二階へ上がってみると、銀子は机に突っ伏して眠っていた。
「何だお前寝ているのか。眠かったらゆっくり寝ていれ、床しいてやろうか。」
銀子はうとうとしたところだったが、ふと目をさまし、顔に圧《お》されていた手を擦《こす》っていた。
「あんばいでも悪くて来たのじゃないかい。」
「ううん、ただちょっとふらりと来てみたのさ。」
「そうかい、それならいいけれど……。」
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