、親爺は何でも言うことを聞いてくれ、小遣《こづか》いもつかえば映画も見て、わがままなその日が送れるので、うかうかと昼の時間を暮らすこともあり、あまり収入のよくない朋輩に、大束に小遣いをやってみたり、少し気分がわるいと見ると、座敷を勝手に断わらせもした。銀子は狡《ずる》いところもないので、親爺も大概のことは大目に見て、帳面をさせてみたり、金の出入りを任せたりしていたので、銀子も主婦気取りで、簿記台に坐りこみ、帳合いをしてみることもあった。東京の親へ金を送ることも忘れなかった。
銀子の父親はちょうどそのころ、田舎《いなか》に婚礼があり帰っていたが、またしても利根《とね》の河原《かわら》で馬を駆り、石に躓《つまず》いて馬が前※[#「※」は「足+「倍」のつくり」、第3水準1−92−37、385−上23]《まえのめ》りに倒れると同時に前方へ投げ出され、したたか頭を石塊《いしころ》に打ちつけ、そのまま気絶したきり、しばらく昏睡《こんすい》状患で横たわっていたが、見知りの村の衆に発見され、報告《しらせ》によって弟や甥《おい》が駈《か》けつけ、負《しょ》って弟の家まで運んで来たのだったが、顔も石にひ
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