かん》と紅茶をもって来て、喫茶台のうえに置いて行ったが、
「蜜柑はよくないが、少しぐらいいいだろう。」
「そうお。」
 銀子も栗栖も紅茶を掻《か》き廻していたが、彼は銀子の顔を見ながら、
「君も十七になったわけだね。」
「十七だか十八だか、私月足らずの十一月生まれだから。」
「ふむ、そうなのか。それにしてはいい体してるじゃないか。僕も一度君を描《か》いてみたいと思っているんだが、典型的なモデルだね。」
「そうかしら。」
「それに芸者らしいところ少しもないね。」
「芸者|嫌《きら》いよ。」
「嫌いなのどうしてなったんだ。親のためか。大抵そう言うけれど、君は娼婦型《しょうふがた》でないから、それはそうだろう。」
 栗栖は間をおいて、
「いつか聞こうと思ってたんだけれど、一体前借はいくらくらいあるの。」
 栗栖は言いにくそうに、初めて当たってみるのだったが、銀子はマダムの初七日も済んだか済まぬに、ちょっとその相談を受け、渾身《みうち》の熱くなるのを覚えた。栗栖が少し酒気を帯びていたので、銀子も揶揄《からか》われているような気がしながら、ただ「いいわ」と言ったのであった。そしてそれから一層親爺
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