》に暮らしていた。
 材木問屋はこの離れへ来ても、ビールでも呑《の》んで帰るくらいで、外で呼ぶことになっていたが、長いあいだ月々世話になっている弁護士の来る日は二階を綺麗《きれい》に掃除させ、桐《きり》の丸火鉢《まるひばち》に火を起こし、鉄瓶《てつびん》の湯を沸《たぎ》らせたりして、待遇するのだった。

      八

 浜龍は材木屋の座敷から帰って来ると、座敷着もぬがず、よくお札の勘定をしていたものだが、驚くことにはそれが銀子のまだ手にしたこともない幾枚かの百円札であったりした。彼女は弁護士からもらう月々のものを大体家へ入れ、材木屋から搾《しぼ》る臨時《ふり》のものを、呉服屋や貴金属屋や三味線屋などの払いに当て、貯金もしているらしかったが、どこか感触に冷たいところがあり、銀子がお札を勘定しているところを覗《のぞ》いたりすると、いやな顔をして、
「いやな人ね、人のお金なんぞ覗くもんじゃないわよ。そっちへ行ってらっしゃい。」
 などと邪慳《じゃけん》な口の利き方をした。
 この姐《ねえ》さんは年ももう二十一だし、美しくもあり芸もあるが、腕も凄《すご》いのだと銀子は思うのだったが、どうす
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