行って着物を着せ茶の間へつれ出して来た。
「おじさんにお早ようするのよ。」
 瑠美子は言う通りにした。
「寝坊だな。」
 庸三は言ったきり、むっつりしていた。葉子はちょっと台所へ出て行ったが、間もなく傍へ来て坐った。かと思うと、また立って行った。庸三は何かお愛相《あいそ》の好い言葉をかけなければならないように感じながら、わざとむっつりしていた。そして瑠美子が箸《はし》を取りあげるのを汐《しお》に、見ているのが悪いような気もして、やがて立ちあがった。そして机の前へ来て煙草《たばこ》をふかしていた。と、いきなり葉子が転《ころ》がるように入って来たと思うと、袂《たもと》で顔を蔽《おお》って畳に突っ伏して泣き出した。彼女は肩を顫《ふる》わせ、声をあげて泣きながら、さっきから抑え抑えしていた不満を訴えるのだった。
「先生という人は何て冷たい人間なんでしょう。先生が気むずかしい顔だから、私がはらはらして瑠美子にお辞儀をさせても、先生はまるで凍りついたような表情をして、笑顔《えがお》一つ見せてくれようとはしないんです。あの幼い人が先生の顔を見い見いして神経をつかっているのに、先生は路傍の人の態度で外
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