一緒に歩廊に立っていた。
何といっても葉子にとって、彼の大きい子供は鬼門であったが、若い同志の文学論や音楽、映画の話では、二人は好い仲間であった。彼は父には渋面を向けても、手触りの滑《なめ》らかな葉子には諧謔《かいぎゃく》まじりに好意ある言葉を投げかけないわけに行かなかった。
ある時庸三は彼女と一緒に、本郷座の菊五郎の芝居を見に行ったことがあった。
「君芝居|嫌《きら》い?」
「大好き。連れてって。」
入ってみると、出しものは忠臣蔵で、刃傷《にんじょう》の場が開いていたが、目の多いなかで二人きりでいるのが、庸三には眩《まぶ》しかった。それに彼は第三者のいることが、いつでも望ましいのであった。二人きりの差向いは、一人でいるよりも寂しかった。第三者が他人の青年か何かである場合が一番|気易《きやす》い感じであった。賑《にぎ》やかに喋《しゃべ》っている二人――葉子をみているのが、とりわけよかった。相手が子供の場合には、仄《ほの》かな不安が伴うのだったが、子供が近よらないよりも安心だった。
「子供をつれて来ればよかった。」
庸三が言うと、
「呼んで来ましょうか。」
と言って、葉子は立っ
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