い母のみが理解してくれて、月々一定の額を先輩の山上の手を通して仕送ってくれ、それに彼自身いくらかの収入もあるにはあるが、家賃も出るので、そう楽でないと言うのであった。
「けどその程度でやって行かなくちゃあ。十分じゃないか。」
「でも私は寂しいの。何しろ田舎《いなか》のことで、それは大して贅沢ではないにしても、食べたいものはお腹一杯食べて来たんですもの。」
話がだんだん賤《さ》みしくなって来た。顔に似合わず、彼女もやはり女であった。清川の親たちや弟妹たち、家庭の経済状態や雰囲気《ふんいき》にも繊細な神経が働いて、とかく葉子の苦手の現実面が、二人の恋愛を裏づけていた。
庸三は自分も今度のこの恋愛の初めには、同じように、むしろそれ以上にも唇《くちびる》の薄い彼女の口の端《は》にかかったであろうし、庸三にしたように、清川の前にも庸三ヘの不満を泣いて哀訴したであろうことも考えないわけにいかなかった。
「どこもそんなものだ。世の中に君の註文通りのものがありようもないから、そこにじっと腰をすえているんだね。」
庸三は悒鬱《じじむさ》い自分の恋愛とは違って、彼らの恋愛をすばらしく絢爛《けんらん》
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