の手を経て横浜から買った、ヤンキイ好みの紺に淡《うす》めな荒い縞《しま》のある例の外套《がいとう》に包《くる》まっていたが、髪もそそけ顔もめっきり窶《やつ》れていた。
 じきにタキシイに飛びのって、行きつけの家《うち》へ走らせたが、部屋へ納まっても、何か仮り着をしているようで、庸三は気が負《ひ》けた。
 時分時だったので、庸三は葉子の註文《ちゅうもん》もきいて料理を通した。
「少し痩《や》せたね。」
「ぞうよ、毎日働くんですもの。ほら手がこんな。節々が太って。」
 と言っても葉子はやっぱり美しかった。
「あの人が水を汲《く》んでくれたり、食器を洗ったりしてくれるけれど。」
「女中なし?」
「ええ。あの人このごろますますあれだもんだから、手の美しいのなんか真平《まっぴら》だというのよ。労働者のように硬《かた》くならなくちゃ駄目なんだって。」
「なるほど。君には少し無理だね。しかし生活はいいんだろ。」
「ところがあまりよくもないのよ。」
 彼女の話では、清川の父は老大家に甘やかされて贅沢《ぜいたく》に馴《な》れている、そんな女を引き受けるのに不賛成で、父よりも好い身分に産まれつき、教養の高
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