うで解《わか》らないのだったが、見るのは好きであったので、舞踊にも造詣《ぞうけい》のふかい若い愛人清川を得てからの新作発表の公演も見逃《みのが》さなかった。
しかし今夜のはプライヴェトな催しであるだけに、踊りよりも集まる人たちの社交の雰囲気《ふんいき》に、巧く入って行けないような気もしたし、葉子と清川とのあれからの接近の度合いも何とはなし解るようにも思えたので、とかく気が進まないのであった。このごろの葉子の口吻《くちぶり》でも、瑠美子を間に挟《はさ》んでの二人の親愛が卜《ぼく》されるので、今夜あたりどんな場面を見せつけられるかも知れないし、またそれが彼ら二人の準備行動なのかも知れないのであった。感の鈍い庸三はそれを分明に考えたわけではなかったけれど、敷衍《ふえん》すればそうも言えるのであった。
最近移ったばかりの信濃町《しなのまち》の雪枝の家《うち》の少し手前で、タキシイを乗り棄《す》て、白いレイスの衿飾《えりかざ》りのある黒いサテンの洋服を着た葉子は、和装の時ほど顔も姿も栄《は》えないので、何か寒々した感じだったが、気分も沈みがちであった。さほど広くもない部屋にざっと一杯の人で、
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