たき》としての感情というより、文壇や画壇の人で、いつも華《はな》やかに賑《にぎ》わっている小夜子の家《うち》の雰囲気《ふんいき》が、何となく不安な感じを与えたからであった。
浴衣《ゆかた》は潮色《うしおいろ》の地に、山の井の井桁《いげた》と秋草とを白で抜いたものだったが、葉子にもよく映るような柄合いであった。彼女はちょっと肩にかけて見ていたが、一度でも小夜子の手を通したものだと思うと、矜《ほこ》りが傷つけられるとでも思ったらしく、いきなり揉《も》みくしゃに揉みほごすと、ヒステリックな表情でつかつか庭へおり立って下駄《げた》で踏みつけた。庸三は呆気《あっけ》に取られて見ていたが、彼女はそれでも飽き足らず、上へあがってマッチを取ると、再び庭へおりて火をつけはじめた。白い煙を※[#「※」は「風+昜」、第3水準1−94−7、286−上−12]《あ》げて浴衣はめらめらと燃えて行ったが、燃えのこりの部分の燻《くすぶ》っているのを、さらに棒片《ぼうきれ》で掻《か》きたてていた。
終《しま》いに葉子は少し空虚を感じ始めて来たものらしく、そっと灰を掻きあつめてから、すごすご縁へ上がって来た。
「私が
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