高いのが感じがよかった。カアテンとかテイブルセンタアとか、童話趣味の装飾も彼女らしい好みであったが、奥の一部屋だけは、不釣合いに厳《いか》つい床や袋|戸棚《とだな》などちょっと擬ったところがあった。
「さあどうぞ。」
葉子は縁に近い処《ところ》へ座蒲団《ざぶとん》を持ち出して、かつて自分の田舎《いなか》の家へ招いた時以上にも気を配って、庸三を居馴染《いなじ》ませようとした。例の小樽《おたる》以来の乾児格《こぶんかく》の女流画家や瑠美子もいた。
「小父ちゃん今日《こんち》は。」
瑠美子は側へ来て、いつかのことも忘れたように、にこにこしていた。
ルッソオやトルストイの話もここでは出なかったし、晩飯の支度《したく》に働きながら、かつて逗子の家へ彼をつれて行った時と、少しもかわらない調子で、やがて晩餐《ばんさん》の支度に立ち働いていたが、何か融《と》け合えないことが、二人のあいだに挟《はさ》まっていた。庸三はせっかく親しみかけて来た家庭や書斎を、またしても遠ざかって来たような感じで、寛《くつろ》ぐ気持にもなれなかった。これからまたどういうことになるのか、その見透しさえもつかなかったが、差
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