に火花を散らして書き立てた結果だということが解《わか》るし、母や兄がまたどんなに困っているかということも想像できるので、不断の葉子なら遠くからやって来たこの父親を、そのまま帰すはずもなかったが、彼の姿を見ると、ちょっと頬《ほお》を染めただけで、顔も見せないようにしていた。少し離れていた庸三も見て見ぬふりをしていた。
「縁談があるんですって。」
葉子は言っていたが、東京では若い人たちに騒がれていた、いつも葉子に忠実であった彼女も、汽車の時間の都合で、挨拶《あいさつ》する隙《ひま》もなく連れて行かれてしまったのであった。
葉子が玄関わきのサロンで黒須に逢《あ》っているあいだ、庸三は奥の座敷で莨《たばこ》をふかしていた。二人の話し声が聞こえ、軽い葉子の笑い声もしたが、何を話しているかは解らなかった。
「カフエでも出すなら、金はどうにでもする。貴女《あなた》ならきっとさかるに違いない。――あの人そんなこと言ってるの。」
黒須を帰してから葉子は庸三の傍《そば》へ来て言うのであった。
「でもあの人たちとうっかり組めないくらいのことは、私にだって分かっているわ。」
葉子は笑っていた。
「そう
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