あやま》ちを償わせることが、何よりも必要だと思われた。
そうしているうちにも、葉子は時々聞こえる自動車のサイレンや爆音に聴耳《ききみみ》を立てていた。彼女の神経に、それが黒須の追迹《ついせき》のように思えてならなかった。世間のすべてが――庸三すらもが今は彼女を迫害するのであった。
二十
露骨な争いと、擬装の和解との息詰まるような一夜が明けた。葉子は庸三によって新聞の記事を何とかできるだけ有利に糊塗《こと》しなければならなかったが、庸三もこうして彼女に捉《つか》まった以上逃げをうつ手はなかった。
十時ごろに目がさめると、葉子はトイレット・ケイスの中から化粧道具を取り出して、顔を直していたが、火鉢《ひばち》のなかから鏝《こて》を取り出すと、カモフラジュの形で、わざと手のとどかないところを庸三に手伝わせたりした。庸三は前にも一度、どこかのホテルで鏝をかけさせられたことがあったが、葉子が耳にかぶさるまで蓬々《ぼうぼう》と延びた彼の髪を彼女流に刈り込むようには器用に行かないので、熱い鏝の端が思わず頸《くび》に触って、彼女は飛びあがって絶叫したことがあった。葉子はいつも自身の
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