その日その日の彼女の自制と希望でもあった。ちょうどそれは毎朝の口を漱《すす》いだり、歯を磨《みが》いたりするのと同じに、それをしないと気持が一日散漫であった。
庸三は昨夜も遅くまで花を引いて、硝子《ガラス》障子の白むころに疲れて寝たのであった。庸太郎も仲間に加わっていた。
「何か出ている?」
庸三はちょっと聞いただけで、新聞を覗《のぞ》く気にもなれなかった。好いにしろ悪いにしろ、その記事が彼と葉子のあいだに、いずれからも超《こ》えがたい一線を引いたはずであった。
「ああ、これあ少し悪いな。」
庸太郎が言うので、彼も少し気になって記事にちょっと目を通してみた。確かにそれは葉村氏の理解に信頼して、庸三の個人的に洩《も》らした微《かす》かな憎悪の言葉が、粉飾《ふんしょく》と誇張に彩《いろど》られたもので、むしろ葉村氏の心持で忖度《そんたく》された庸三の憎悪を、彼に代わって彼女に投げつけているようなものであった。
庸三は若い記者の思いやりを、一応感謝はしたものの、擽《くす》ぐったくもあった。にわかに庸三は憂鬱《ゆううつ》になった。
「これじゃ何だか葉村君の呑込《のみこ》みがよすぎたよう
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