なふうで、髪も化粧も崩れていた。
「どうもすみません、お呼び立てして……。」
 彼女は金屏風《きんびょうぶ》のところにあった座蒲団《ざぶとん》をすすめたりした。
「スウト・ケイスどうしたの。旅行?」
「そのつもりでしたのよ。私たちを保護してくれることになっている、園田の従兄《いとこ》の黒須さんね。あの人がどうも不安なのよ。」
「どう不安なのさ。」
「あの人が私に色気をもつからいけないのよ。」
 なるほど! と庸三は思った。
「それにあの人こわいのよ。もと外務畑の人だそうだけれど、今は院外団か何かでしょうか、乾分《こぶん》も多勢《おおぜい》あるらしいの。別に悪い人でも乱暴な男でもなさそうだけれど、ちょっと気のおけないところがあるのよ。男前も立派だし、年も若いわ。奥さんもインテリでいい人なんだけれど、どうもあの人、私に対する態度が変なのよ。この間も縁側で園田の膚垢《ふけ》を取ってやっていると、あの人が傍《そば》へ来て、冷やかし半分|厭味《いやみ》を言ったりするの。」
「そんなこと気にすることないじゃないか。」
「それあそうだけれど……。」
 葉子は少し顔を紅《あか》らめて、
「だけどあの人
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