ふけ》っていた。
「葉子さん、椅子《いす》と茶呑《ちゃの》み台とを庭へ持ち出して、ベレイなんか冠《かぶ》って、原稿書いてましたよ。僕が行くと、警戒したようでしたが、お金は欲しいらしいんです。明日あたりちょっと東京へ出る用事もあるから、その時先生にもお逢《あ》いしたいというんです。」
権藤はその場所と時間を決めて来たことをも報告した。
その日になって、庸三は少しばかり金を用意して、行きつけの上野の鳥料理へ行ってみた。そこには広い宴会席が二階にあって、下は漫々とした水のまわりに、様式に変化をもった小窓が幾箇《いくつ》もあった。山がかりの巌から、滝が轟《とどろ》き流れおち、孟宗竹《もうそうちく》の植込みのあいだから、夏は燈籠《とうろう》の灯《ひ》が水の飛沫《しぶき》をあびて、涼しい風にゆらぐ寒竹や萩《はぎ》のなかに沈んでいた。
庸三はその時、宴会場とちょうど反対の側にある、一室離れた二階の小間で持出し窓に腰かけながら、目の下に青黄色い孟宗の枝葉を眺めながら、葉子の来るのを待っていた。
やがて葉子がやって来たが、園田を銀座のモナミかどこかで待たせてあるというふうであった。ここは見えもな
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