たり、寂しがらせたりはしたが、ジャアナリズムと一般の世界ではほっとしたようであった。
葉子の行動に、前から関心をもっていた、ある若い新聞記者から、ある時電話がかかって来た。その時も庸三は小夜子の家《うち》にいた。小夜子の家でも、川沿いの部屋の窓近くに、幾株かの若い柳を植えたり、玄関先きの植込みのうえに変わった型の電気|燈籠《どうろう》を掲げたりして、座敷はいつも賑《にぎ》やかであった。
庸三が帳場の卓上の受話機を取ってみると、今度の事件について、何か話が聞きたいというのであった。
「そうですね、僕は二人の結婚がどうかうまく行くようにと思うよりほか、別に何の感想もありませんよ。多少あっても、今は何も言いたくないんですが。」
それ以上|強《し》いもしなかったが、庸三はそれを機会《きっかけ》に、逗子事件のその後の進展について知りたいような好奇心もいくらか唆《そそ》られた。このうえ葉子を手元へ引き寄せてみようとは思わなかったが、嫉妬まじりの興味がないこともなかった。
翌日庸三はしきりに洋装をしたがっている小夜子に言われて、布地《きれじ》を見に、一緒にひつじ屋へ行ってみた。小夜子は身分の
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