もやつ》れがしていたが、裏が廊下になっている、ちょうど縁側と反対の壁ぎわに延べられた寝床の枕元《まくらもと》近くのところで、庸三を警戒するもののように離れて坐っていた。
「どうしたんだ。」
「いずれある時機に御相談しようとは思っていたことなんですけれど。」
「それで……。」
「先生にいつかお話ししましたかしら、メイ・ハルミのこと。」
「いや聞かない。」
「そうお。じゃあこれはごく内証《ないしょ》よ。お書きになったり何かしちゃ駄目よ。あの人たちの名誉に係《かか》ることですから。」
「話してごらん、大丈夫だから。」
「ハルミさん一昨年の夏とかに、避暑かたがた軽井沢へ美容院の出張店を出していたのよ。そこへおばさんおばさんと言っちゃ、懐《なつ》いて来る一人の慶応ボオイがあったんですって。するとあの人も、商売がああいうふうに発展すれば発展したで、無論やり手の旦那《だんな》さまのリイドの仕方も巧いんでしょうけれど、それだけにまた内部に苦しいこともあるものらしいので、ついその青年に殉ずる気持になって、結婚しようと思ったんですって、それでそのことを旦那さまに打ち明けて、今までの夫婦生活を清算してから、
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